医療・福祉のネットワーク探訪記 ~新宿食支援研究会編~
子どもや高齢者、専門職も一緒に食べられる街をつくる!
活動のキーワードはMTK&H
2009年7月に発足した「新宿食支援研究会」。会を率いるのは、東京都新宿区で歯科診療所を営む五島朋幸さん(ふれあい歯科ごとう院長)です。1997年からはじめた訪問歯科診療のなかで、食支援に対する問題意識を強めていったことがきっかけでした。
「地域単位で意識改革を行い、職種の垣根を超えた食支援が必要であると考えました」と五島さんは振り返ります。
活動するのは、現時点で23職種160人以上の医療・介護職を中心としたメンバーです。キーワードに掲げるのは、「MTK&H」――。Mは「何らかの食や栄養の異常を〝見つける〟人」、Tは「〝適切〟な支援者につなぐ人」、Kは「結果を出す人」、そしてHは「知識を〝広める〟人」といった意味を指します。この考えに則り、口腔ケアを学ぶチームや食事姿勢を検討するチームといった、さまざまなテーマにもとづくワーキンググループが活動しています。
いずれの活動においても最終的に目指すのは「食べられる街づくり」です。五島さんは次のように説明します。
「口から食べられなくなった人を食べられるようにするだけでなく、いかにその前段階で気付くことができるかを重視しています。本人のみならずご家族も含め、食に対する知識を深め、意識を変えていくサポートができればと考えています」
今回お話を聞いた方
「多職種連携は人付き合いと同義。楽しんで取り組みましょう」と五島朋幸さん
公開講座でサポーターを養成楽しく気軽に継続する
こうした活動の積み重ねによって、「これは歯科医に聞くことだよね」「あそこに栄養士さんがいるから聞いてみよう」といった風土が地域に少しずつ醸成されつつあるといいます。専門職のスキルアップとともに、地域に知り合いが増えてつながりが生まれることで、実務での円滑な連携にも役立っているとか。
コロナ禍にある今は、対面でのコミュニケーションが限られることで活動は多少鈍くなった 一 方、オンライン上での活動が増えたことで北海道や九州など、全国から参加するメンバーが増えました。
その反面、新宿区における身近な活動の大切さも再認識したことで、 一 般市民を対は歯科医に聞くことだよね」「あそこに栄養士さんがいるから聞いてみよう」といった風土が地域に少しずつ醸成されつつあるといいます。専門職のスキルアップとともに、地域に知り合いが増えてつながりが生まれることで、実務での円滑な連携にも役立っているとか。
コロナ禍にある今は、対面でのコミュニケーションが限られることで活動は多少鈍くなった 一 方、オンライン上での活動が増えたことで北海道や九州など、全国から参加するメンバーが増えました。
その反面、新宿区における身近な活動の大切さも再認識したことで、 一 般市民を対 象に意識向上を図る「食支援サポーター®」の活動を再開。最近は小学校からの出前授業のリクエストも寄せられています。『「おじいちゃんが食べられなくなったら、あなたは何をしますか』といった身近な例を引き合いに、子どものころから食べることについて考える機会をつくりたい」と五島さん。
発足から20余年。長くネットワークを継続する秘訣を五島さんに尋ねると、「ワンチームと思わないこと」と少し意外な答えが返ってきました。
「新宿区のような都会は、人の流入出が多く、メンバーが入れ替わるのが当たり前。ワンチームだと思っていると1人でも抜けると戦力ダウンになるし、新しい人を異分子扱いもしてしまう。気軽に楽しく、ためになる活動であることが大事ですね」
最期まで口から食べられる街、新宿
専門職だけでなく一般住民も参加し、見つける、つなぐ、結果を出す、そして広める(MTK&H)という手法を用いて食支援を実践し、「食べられる街」を作ること。
新食研の活動アレコレ
~食事動作研~
他職種の方が集結し、映像で食事動作を見ながら、それぞれの目線で気づきを共有するグループ。
~宅配弁当ワーキンググループ~
宅配弁当の基本的な種類や選び方から、新宿区内でデリバリーできる宅配弁当の評価、食事や介護を相談できる各種窓口の情報を分かりやすくまとめた小冊子などを発行する。
~訪問看護師ワーキンググループ・飯塚姉妹~
訪問看護師の飯塚姉妹が主催する、口腔ケアにまつわる症例検討会。全国の医科歯科連携の促進を目指す。
~食支援サポーター講座~
「専門職だけでは食べられる街は作れません」とのスローガンのもと、適切な食支援ができる地域住民を増やすのが目的。認定者には缶バッチが進呈される。
~タベマチ祭り~
最期まで口から食べられる街づくりフォーラム全国大会「タベマチフォーラム」を2017年から4回にわたり開催。23年は9月17日に開催予定。
今回お話を聞いた団体
新宿食支援研究会 事務局
新宿食支援研究会の活動に興味のある方は、お気軽にお問合せください!
03-5338-8817
東京都新宿区北新宿4-30-23 ふれあい歯科ごとう内
http://shinnshokukenn.org/index.html