【第1回 脱水対策】あらためて抑えておきたい!ケアにまつわる基礎知識

【第1回 脱水対策】あらためて抑えておきたい!ケアにまつわる基礎知識

脱水症状とは何ですか?

脱水症とは、水分と電解質(塩分など)が不足して起きる状態を指し、熱中症の一つの症状となります。そもそも人間の身体は、食事をはじめ体内で作られる水(代謝水)、飲み水といった体内に補給する水分・塩分と尿や汗、呼吸といった体外に出ていく水分と塩分があります。
これらが、大量に汗をかく、発熱・下痢などの体調不良、食事量・飲水量が減る、のどの渇きが感じづらいといった原因によって水分不足を引き起こし、脱水症を起こすのです。
脱水症状とは何ですか?

脱水症を起こさないためには、どのような工夫が必要でしょうか。

水分はもちろん、食事も適切に摂取することが大切です。食事にも水分が含まれていますが、その量は朝・昼・夕の3食で約1ℓにもなるといわれています。
しかしながら、高齢者は摂食嚥下障害などによる食事量の減少や、食欲が減退するケースが多々あります。食事量が減少するということは、水分量も不足するということ。これを念頭に置きながら、食事が喉を通りやすいようトロミをつけたり、トロミを好まないようであれば栄養満点のスープを提供するといった工夫が必要となります。
脱水症を起こさないためには、どのような工夫が必要でしょうか。
 

脱水症を見逃さないためには、どんなことに気をつければ良いですか?

1.生活態度をチェック!
暑い日に一日中長袖・厚着でいることが多い、水分摂取の量が少ない、急速な食欲の低下
2.生活環境をチェック!
暑い日に設定温度が28度を超えている、室内の風通しが悪い、直射日光のあたる部屋にいる
体内の水分量は、子どものときは70%程度ですが、高齢者になると50%に減少します。脱水症になりかけているのに、本人や周囲が気付けないのが高齢者の脱水の怖いところです。放っておくと命取りにもなりかねません。
脱水症を見逃さないためには、どんなことに気をつければ良いですか?
 

もし脱水症の症状があった時はどうしたら良いですか?

【軽度】脱水症の症状があらわれてから4時間以内に、体重1kgあたり30〜50mℓの経口補水液を飲ませましょう。
【中度】脱水症の症状があらわれてから4時間以内に、体重1kgあたり100mℓの経口補水液を飲ませましょう。
【重度】意識障害やけいれんが見られる場合は、水分摂取だけでは間に合わない恐れがあります。すみやかに医師の判断を仰ぎましょう。
脱水症対策としては、1.周囲が早急に異変に気付くこと、2.脱水を起こさない食生活、3.脱水症になったときには迅速・適切な応急処置を行うことが重要です。
「もともと寒がりだから厚着をしている」「もともと食が細い」といった勝手な思い込みは捨てましょう。食事や水分も摂取してれば良いわけではなく、必要量を満たしているかが大切。ときには握手や舌の渇きを確認するなど、フィジカルチェックも必要です。
多職種で協力しあって、脱水対策に取り組みましょう。
 
川畑 盟子さん

今回お話を聞いた方

川畑 盟子さん

管理栄養士、病態専門管理栄養士、在宅訪問管理栄養士

熱かった夏も終わりに近づいていますが、「脱水症」は季節を問わず気を付けなければならない症状の一つ。特に夏と冬は注意が必要です。

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