第七回 障害者の自立が高齢者の生き方を変える

第7回 障害者の自立が高齢者の生き方を変える

障害理解の必要性を徹底解説!
障害当事者の経験談と共に

家族から心のバリアフリー

私の親は、障害から生じる悩みを常に聞いてくれました。しかし、いつも客観的で子ども自身の問題として支えてくれています。両親の心がバリアフリーの状態で育ててくれたからこそ、悲観せずポジティブに障害を捉えながら付き合えるようになりました。
発達障害等、障害を抱える子どもが地域の学校に在籍するケースの増加に伴って、保護者からの講演依頼が増えています。我が子に障害がある親だけではなく、「障害のある友達との関りにおいて、親子でどのように考えて接していくべきか知りたい」という質問が私の元に届きます。
また、「子どもにも授業で、直接伝えて欲しい!」という強い要望もあります。私は、北海道の福祉教育アドバイザーです。学校から道庁に依頼をしていただくと、お子さんの学年や発達段階に応じて障害への理解を深める授業を展開することが可能です。

地域から心のバリアフリー

エレベーターやバス、地下鉄の利用時など、私の白杖を見て「目が見えないの?もったいない」「大変だと思うけど頑張るんだよ!」「可哀想に。苦労しているでしょう?」と言われます。どの言葉も、その方なりに障害がある私を励ましたり、勇気づけたりしようと思ってかけた言葉なのかもしれません。啓発者として冷静に分析をしながらも、地域の方が心のバリアフリーを進められる機会を充実させたいと考えています。
生涯学習やSDGsへの取り組みの一環として、社会福祉協議会から講演依頼があります。「地域で高齢者への理解は進んでいるが、障害者との関りにおいて課題を感じている」といった率直な意見を耳にします。
地域で活動しているボランティアの方や障害当事者、学生や教員など、幅広い層が参加されるケースが多いです。様々な立場であっても理解が進むように、体験を盛り込んだ中身でお伝えすることも可能です。会場の皆さんの考えも一緒にシェアしながら、地域の団結力を深めることも視野に入れて中身を構成しています。

学校教育から心のバリアフリー

「タクシーや飲食店、公共・宿泊施設など、障害を理由に利用ができない。」「通りすがりの方や見ず知らずの方に、差別や偏見の言葉を投げかけられた。」など、心が苦しくなる経験談を障害当事者から聞くことは珍しくありません。(もちろん、障害について理解しようと接してくれる方も多くいます)日本に住む個人単位での心のバリアフリーを進める必要性を感じます。その機会として、学校での教育に期待をしています。
昨今、学校から障害福祉に関する講演依頼が急増しています。文科省が「障害者理解に関する教育」について学習指導要領で扱い、総合的な学習の時間に福祉について学ぶようになってきたからです。しかし、障害について十分に学ぶ機会がなかった教員も多く、どうやって授業を進めたらよいのか試行錯誤をしている段階です。そこで、専門性がある外部講師と協力し、授業を展開できるように上記でも触れた「福祉教育アドバイザー」という制度があります。
授業を終えると、知らないがゆえに抱いていた障害者への差別や偏見が一変し、「自分たちと変わらない存在であること」「障害に限らず様々な人がいること」への気づきが、質問や感想から感じられます。子どもたちだけではなく、授業を聞いていた教員から自身も良い学びになったことや今後も継続して依頼を希望する声が寄せられます。

企業から心のバリアフリー

障害と共に生きてきた中で一番辛いのは、職場で理解を得られない時です。障害者雇用で幾度か働きましたが、すべて障害を理由に退職しています。その経験を活かし、現在は障害者雇用を促進する立場として、企業の研修会でお話をさせていただいています。「障害に関する知識は膨大で自分が理解するのにも不安がある中、社員にどう伝えていけばよいか悩んでいる」という、障害者雇用担当者の切実な声を耳にします。また、会社全体で取り組めず担当者が抱え込んでしまうケースも少なくありません。
現在、大手企業だけではなく中小企業も障害者雇用に取組むよう、国が進めています。障害の専門家とタッグを組み、会社全体で本気で関わることで障害者の継続雇用を目指すことができます。私の研修会は、担当者向けや社員向け、障害当事者向けのように、立場に応じた中身で構成することもできます。また、業務を抱えながらすぐにでも実践することが可能な内容でお伝えします。

支援員が心のバリアフリーを進めると

医療や福祉で支援を受ける際に、障害について理解してもらえず利用を諦めざる得なかった経験談を当事者から耳にします。実際、私も経験があります。支援者であれば障害について理解してもらえると私たちも思い込んでしまいがちですが、正しく障害への理解を進めるには継続的な学びと当事者との関りが必要不可欠です。それらの機会が医療や福祉現場で十分に整えられていなければ、一人一人の職員が障害種も特性も個人で異なる当事者と適切に接することが難しいケースがあっても不思議ではありません。
特に障害者雇用に直接関わる「就労支援」の支援員向けの研修に力を入れています。就労支援の現場は、障害福祉に関する資格を保有している職員とそうではない職員が協力して支援体制を構築しています。職場での研修会が充実していれば、適切な支援が可能になります。支援員が一丸となり、利用者と共に就労を目指していける研修内容をご提供しています。

動画でも魅力を配信

チャンネル名『梢の心になるほど隊』
障害に関する「なるほど」を、YouTubeやTikTokの動画で配信しています。ぜひ、ご視聴ください。

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杉本 梢さん

今回お話を聞いた方

杉本 梢さん

Lululima branch代表

ルールリマブランチは、正しく障がいを知る機会をあらゆるスタイルでご用意しております。HPはこちら:https://lululima-branch.com/

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