ケアの質を高める!PDCA推進術

ケアの質を高める!PDCA推進術

主体性を測るアセスメントをスタッフ一丸で実践中!科学的介護が推進されるなか、あらためて問われるのがケアの質向上をめざすPDCAサイクルの回し方。今回は、Planning段階にあたる「アセスメント」について、株式会社ファミリーケアサポートの事例から、そのあり方を考えます。

主体性を見える化する独自開発のSIOS(サイオス)

札幌市、留萌市、増毛町でサービス付き高齢者向け住宅や居宅介護支援事業所、リハビリ特化型デイサービス、放課後等デイサービスなど多角的な事業を展開する株式会社ファミリーケアサポート。そのうち、札幌市内で2施設を構える「リハビリテーション颯」においては、アセスメントの際にフランチャイザー(株式会社楓の風)が独自開発した社会的自立支援アウトカム尺度「SIOS(Social Independence Support Outcome Scale)」を活用しています。
SIOSとは、国際生活機能分類(ICF)に準拠した「活動」「参加」に加え、生きざまやアイデンティティを測る「主体性」の3つの尺度のもとに評価項目の設問を設け、利用者本人の参加への意欲や他者との関わりの多寡、それらを本人がどのようにとらえているかを判断できる指標です。
札幌エリアマネージャーの髙嶋成泰さんは、これについて次のように説明します。
「どうしても感覚知になってしまいがちな利用者さんの”主体性”を見える化できる、画期的なツールです。聞くべきことが決まっていることで収集した情報のバラつきがなくなるうえ、これをもとに繰り返してアセスメントすることで利用者さんの身体・心身の変化を捉えながら、より深く相手を知ることができます」

髙嶋さん

今回お話を聞いた方

髙嶋 成泰さん

札幌エリアマネージャー

全スタッフが関わり多様なアプローチを実践

同社がSIOSを活用するうえで重視しているのは、相談員のみならず全スタッフで取り組むという点。この方針にいたったのは、同施設の開設時、もともと理学療法士だった高嶋さんが慣れない相談員業務も任されたことがはじまりでした。「自分だけの偏った視点でしかアセスメントができず、他のスタッフに助けを求めたのは事実です(笑)。でも根底にあったのは、1人よりもいろいろな視点があったほうが、絶対良いアセスメントができる確信があったためです」。得た情報はシステムに入力し、多職種で共有。これをもとにディスカッションを重ね、より良いアプローチにつなげることも必ずセットとなる動きです。
ただし高嶋さんは、最終的に必要となるのは、「人の力」であると強調します。「単にツールを使うだけでは今後AIに取って変わられる領域になってしまいます。根本は、利用者さんにどれだけ自分の人生を語らせてあげられるかどうか。そのためには傾聴力や質問力、ひいては人間力も問われます」
同社では、専門職としてのスキルアップを図る研修はもちろん、人間力を養う研修も定期的に取り入れ、質の高いアセスメントできる人材を育てています。

SIOSの構成要素


SIOSの質問シート



「参加」を測る設問を通して、社会参加や役割のニーズを引き出す。国際生活機能分類(ICF)の生活機能分類を活用したSIOSの設問を聞いていくことで、利用者の本音やニーズの見える化を図る。

「主体性」を測る評価項目では、設問に対し「まったく思わない」「ある程度そう思う」など5段階の該当する位置に〇を付ける。これを含め、全部で11項目を60点満点で点数化して定量評価することで、参加への意欲や他者との関わりの多寡、それについて本人がどのようにとらえているかを判断する。

ファミリーケアサポート流 活用のポイントとメリット

1 利用者本人とともに、情報の深掘りができる!
一方的に聴取するのではなく、利用者と一緒に設問に対する答えを探っていくのがカギ。信頼関係の構築にもつながる。

2 主体性を引き出すことで、自己肯定感も高まる!
情報を深掘りすることで、明確なねらいを持ったリハビリを実施。利用者の自己肯定感アップも期待できる。

3 全スタッフで取り組むことで、多様なアプローチが可能!
全スタッフがアセスメントスキルを身に付けることができ、利用者の目標を織り込んだ具体的な会話等ができる。

Point! 【プラスαの取り組み】
その日の利用者の目標やリハビリの進捗状況まとめた紙を、各スタッフが常に携帯。ねらいを持った会話ができるよう意識している。

エピソードの一例

Before
脳梗塞の既往歴があり、多少ろれつが回らないが、普段の会話には問題がないAさん。本人は自信を失って人とのおしゃべりに尻込みをするようになってしまった。

After
SIOSでアセスメントを繰り返してみると、町内会などの集まりで人前に出る機会が多くあったことがわかった。そこで言語のトレーニングではなく、人前で発言することが必要であると判断し、施設内で講話の機会を設けた。次第にAさんは元気を取り戻していった。

今回お話を聞いた方

株式会社ファミリーケアサポートリハビリテーション颯

中央店
札幌市中央区南8西11-3-11
TEL 011-522-6252

桑園店
札幌市中央区北7条西11-4-2ミヤコビル1F
TEL 011-522-5530

https://www.fcs-rehabiliday.com

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