第三回 杉本梢×障害理解

第三回 杉本梢×障害理解

障害は身近に存在している
心に「なるほど」を届けるお話

障害当事者がバリアフリーに望むこと

料理の味は飛び切り美味しい訳ではないけど、接客がとても良かったので、再びその飲食店に足を運びたくなった経験はありませんか?
先日、店頭にバリアフリーマークを掲げている公共施設を利用しました。段差も少なく、通路の幅にもゆとりがあり、確かに過ごしやすさを感じました。それでも、視覚障害がある私にとって、利用するには難しい設備が幾つかありました。バリアフリーと言っても、全ての人が何の不自由もなく過ごせる環境を用意することは不可能です。
私たち障害当事者も冒頭で触れた飲食店のように、多少の不便があってもスタッフの方に「必要に応じてサポートしたい」という気持ちをもって接していただけたら、再び足を運びたい場所になります。バリアフリーで一番大切なのは、その場所にいる方の「心のバリアフリー」です。

杉本のつぶやき
障害の有無に関係なく、人は人の心に惹かれる。これは、AIには任せられない部分だと思う。

広まる秘訣

ある企業から「視覚障害がある方にも扱いやすい商品開発のために、お話を伺いたい」と依頼がありました。自分の経験をもとに、伝えられる限りお話をしました。やり取りを通して、担当の方の想いも強く感じられました。
最後に、私はこう伝えました。
「もちろん、私たちが扱いやすい商品が増えて欲しいと願っています。しかし、ある一定数の需要が得られないと、商品の単価を安く提供できなかったり、知名度が育たず当事者に情報が行き渡らなかったりというデメリットも生まれます。視覚障害者だけではなく、子どもや高齢者、女性や男性にとっても扱いやすい商品を生み出す視点と共に商品の開発がされることを期待しています。」

杉本のつぶやき
視覚障害の弱視にとって扱いやすいものは、誰ににとっても見えやすいものだったりする。

見守ることの大切さ

私は障害への理解について講演会やセミナーで啓発をする活動をしています。教育現場では障害理解教育が施されるようになり、学校からの依頼も増えています。先日の講話終了後、ある生徒から感想が寄せられました。
「毎朝、駅で白杖を持った人を見かけます。私はいつも何もできず、もやもやしながら眺めていました。今日の講話で、見守ることがサポートの第一歩です。と、杉本先生に言われて心が軽くなりました。何も出来ないという気持ちが、見守ることが出来ているという気持ちに変わりました。困っている様子が見受けられたら、声をかけたいです。」
子どもや高齢者、怪我をしている方、体調が悪い方。だれもが、いつ何に困るかわかりません。人が人に関心を持ち、目の前の人が困っていたら手助けをする。それは、障害がある方を見守ることと同じだと言うことも重ねて講話で伝えました。

杉本のつぶやき
障害の有無に関係なく周囲の人に関心を持ち、困っている方がいたら可能な範囲で良いから力を貸す。この連鎖が、社会をもっと優しくする。それは、自分も優しくされることに繋がる。

動画でも魅力を配信

チャンネル名『梢の心になるほど隊』
ここでは伝え切れなかった障害に関する「なるほど」を、YouTubeの動画で配信しています。ぜひ、ご視聴ください。

梢の心になるほど隊」で検索するかQRコードからご覧になれます!

障害当事者としての境遇、専門職での経験を活かし、障害を社会に知らせる活動をしています!

杉本 梢さん

今回お話を聞いた方

杉本 梢さん

Lululima branch代表

ルールリマブランチは、正しく障がいを知る機会をあらゆるスタイルでご用意しております。HPはこちら:https://lululima-branch.com/

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