介護ライター田口はミタ!介護現場のひそひそ話

第二十八話
中学校以降の支援打ち切りはなぜ起きる?
発達障害の我が子の未来
今年の3月で小学校の支援学級を卒業した息子だが、大きく変わるのは、支援だ。息子は、小学校6年生までは、放課後等デイサービスではなく、学童保育に通っていた。だが、中学校からは、学童保育はなく、そうなると預かり先はなくなる。かといって、まだ、1人でレンジを使うことも買い物に行くこともできないとなると、そう家を離れるわけにいかない。グレーゾーンの障害児にとり、放課後をいかに過ごすかは、大きな問題だろう。
そして、障害者総合支援法で使えるショートステイ(レスパイトステイ)は、重度の子どもが優先され、軽度の我が子は優先度が低い。
今までは、使えたサービスが打ち切りになっていく。軽中度の障害児を持つ家庭は、実感している人も多いのではないか。これはなぜ起こるのかを解説する。

多くは法律の差だった
1.児童福祉法の適用範囲と年齢制限
制度の枠組みでは、障害児向けのサービス(例.放課後等デイサービスや児童発達支援)は、児童福祉法に基づいて提供される。 この法律では、対象を原則として「18歳未満の児童」と定義しているが、実際の運用では「小学生まで」や「中学生まで」を目安にサービスが設計されることが多い。
中学生以下での打ち切り理由
小学生(6~12歳)は発達段階で基礎的な支援が必要とされ、放課後等デイサービスやショートステイが充実している。
しかし、中学生(13~15歳)になると、「自立支援」や「学校教育への移行」が重視され、児童福祉法に基づくサービスが縮小する傾向にある。
18歳未満全体をカバーするはずのサービスが、予算や施設のキャパシティの都合で「中学生以下」に限定され、さらに中学校進学を機に打ち切られるケースが見られる。
2.教育段階の変化と支援の移行
小学生向けには特別支援学級や学童保育、個別支援が手厚く提供されるが、中学生になると「自立」や「社会性」を育む方針が強まり、支援が学校教育に依存する形に変わる。これにより、小学校で受けていた福祉サービスが中学校で継続されない場合がある。
支援のギャップ
小学校では児童福祉法に基づくサービスが中心だったものが、中学校では障害者総合支援法への移行が求められる場合がある。しかし、この移行がスムーズに進まず、サービスが途切れることがある。
例.小学校の支援学級で提供されていた介助員や通学支援が、中学校では「生徒の自力通学」を前提に打ち切られるケース。
3.自治体の予算と優先順位予算の制約
自治体が提供する福祉サービスは予算に依存しており、限られた資源をどの年齢層に優先的に割り当てるかが課題だ。小学生は発達支援の効果が大きいとされ、手厚く支援される一方、中学生になると「必要性が低下した」と判断され、サービスが削減されることがある。
優先順位の変化
中学生になると、障害の程度やニーズに応じて成人向けの障害福祉サービス(障害者総合支援法)への移行が想定される。このため、自治体が「中学生以下の児童向けサービス」に特化し、それ以上の年齢層を別の枠組みに委ねる傾向がある。
4.事業所や施設の運用方針事業所のターゲット
ショートステイやレスパイトステイを提供する事業所が、独自に「小学生のみ」や「中学生まで」を対象とする場合がある。これは、施設の設備やスタッフの専門性が児童向けに特化しているためだ。
中学生以上の受け入れ難
中学生になると身体的・精神的な成長に伴い、ニーズが多様化(例.プライバシーへの配慮、行動支援の複雑化)し、小学生向け施設では対応が難しくなることがある。その結果、中学生以上を対象外とする事業所が出てくる。
5.社会的認識とニーズの変化
「自立」の期待
日本では、中学生になると「自己管理」や「社会参加」の準備段階と見なされ、手厚い支援が減る傾向がある。
これは、障害の有無に関わらず、一般的な教育方針にも影響するという。
家族支援の視点
小学生の保護者は子育て負担が大きいとされ、レスパイトケアが充実しているが、中学生になると「家族も慣れた」とみなされ、支援が縮小されることがある。
具体例と東京都23区での状況
放課後等デイサービス
東京都23区では、中学生まで利用可能な事業所が多いものの、小学生中心のプログラムが主流で、中学校進学後に「卒業」となるケースが散見される。
ショートステイ
児童福祉法に基づく短期入所は18歳未満が対象だが、事業所によっては「中学生まで」を目安に運用し、高校生以上を成人向けサービスに振り分けることがある。
我が家も手探りの春休み明け
春休み中に、関係者を集めたケース会議が開催になるが、今後の息子の放課後の方針はざっくりと以下のようなものだ。•料理好きな性格を活かし子ども食堂でのボランティア
・移動支援を利用しての日常生活のレッスン
•特別支援学級は高校にはないので(より重度の子向けの特別支援学校はある)、高校受験に向けての勉強
•学童から児童館への居場所の移行 などだ。
だけど、小学校と同様に、息子の自主性は大切に育てていきたい。
今回お話を聞いた方
田口 ゆうさん
あいである広場編集長兼ライター
東京都出身東京都在住。立教大学経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアや日刊SPA!や集英社オンラインなどで連載を持つ。認知症患者のリアルを描いたコミックエッセイ『認知症が見る世界』で原作担当

