第1回 高齢者の住まいのあり方

今回のテーマ:有料老人ホームの現状とこれから
目次
Q 今、有料老人ホームは全国、ならびに北海道にどのくらいありますか。
現在、有料老人ホームは全国に17,246施設(2024年6月時点、サ高住除く)あり、認知症高齢者グループホームを抜いてトップです。2000年の介護保険制度施行後ゆるやかに増えていき、2015年の介護保険法改正で特別養護老人ホームの入所要件が要介護3以上に引き上げられたことを境に、急激に増加しました。
北海道においては有料老人ホームが1,153施設ほど あり、最も多いエリアが札幌市の418施設、次いで旭川市の277施設、函館市の68施設となります。全国と北海道の供給数を比較すると、ここ数年は大差がないものの10年推移でみると全国の1.6倍増に対し、北海道は2.3倍まで増えている点が特徴です。要因は、北海道が全国よりも高齢化率が高いことから、これにともなって供給量が増加しているとみています。
Q 2025年4月、厚生労働省による「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」※が発足し、あらためて高齢者住宅の質が問われています。貴協会が感じている課題を教えてください。
まず直近では、あり方検討会でも議論されているように有料老人ホームにおける多様な課題が顕在化しており、これの対応策が問われているということです。加えて当協会としては、災害時の入居者支援をはじめ、特養に次いで有料老人ホームでの発生件数が増加している入居者虐待への対策も喫緊の課題と考えています。
中期の課題としても、有料老人ホームの開設が届出制から登録制になること、都市部での待機者増加と反する地方での入居者減少など多々あります。そして2040年になれば高齢者数はピークアウトし、高齢者施設や住宅が淘汰されていきます。事業者にとっては、これまでの施設運営のあり方を見つめなおす時代に突入してきたと考えています。

Q 貴協会として力を入れて取り組んでいくことを教えてください。
課題にも挙げた「災害時の入居者支援」として、迅速に物資やスタッフの派遣、入居者の受け入れなどを融通しあえる体制を北海道内会員のホーム間で構築しました。加えて登録制になることで入居契約書の適切な中身についても議論が進むと思われますが、当協会では「有料老人ホーム標準入居契約書」を適宜、時代に沿ったものに改定していきます。
また、増加傾向にある介護事故訴訟も懸念しているひとつです。ケアする側が訴訟を恐れるあまり自立支援がままならなくなるといった恐れが指摘されており、当協会として「介護事故リスク管理指針」を策定しました。これまで入居者やご家族からの苦情相談も受け付けてきたのですが、非会員の有料老人ホームからも相談を受けられる体制を構築し、より全面的なバックアップをしていきたいと考えています。
Q 最後にメッセージをお願いします。
依然として人材不足が顕著ななか、中堅層の職員の方々にかかる負担はますます大きくなっています。しかしながら私自身が経験したように、入居者やご家族から「あなたがいてくれてよかった」と言われた経験が、この仕事にとどまる大きな理由になっているのではないでしょうか。若い世代にも、そういった気持ちを味わってもらえるよう、支援していけたらうれしく思います。
顕在化する課題に対するバックアップ体制を構築中

今回お話を聞いた方
松本 光紀さん
公益社団法人 全国有料老人ホーム協会
事業部部長
民間の創意と工夫の精神の下に有料老人ホームを運営している運営法人が集い「公益社団法人全国有料老人ホーム協会」として1982年に設立。コンプライアンスに基づく運営と積極的な情報の開示等を通じて入居者の保護に努めるとともに、運営法人の健全な発展をサポートする。
公益社団法人 全国有料老人ホーム協会
URL https://www.yurokyo.or.jp/
TEL 03-5207-2763
入居・苦情相談/月~金曜日(祝日、年末年始を除く)
午前10時~午後5時 ※ご入居・苦情など一般の方からのご相談受付中

