第八回 福祉がもっと身近になる

第八回 福祉がもっと身近になる

必要な人に情報が届く社会
福祉についてもっと知ってほしい

母子・父子世帯ではないから

ひとり親で子どもを育てている方は、珍しくありません。新型コロナウイルスの影響で、幼稚園や保育所、学校が休みになったときに、多くのひとり親が仕事との両立に頭を抱えていたことはニュースでも連日報道されていました。流行り病だけではなく、体調不良や病気で十分に働けなかったり、子育てをしながら就ける仕事が見つからなかったりなど、支援を必要としている方が多くいらっしゃいます。そういった背景の影響もあり、ひとり親の約半数が貧困問題を抱えています。
当事者はもちろんですが、親しい人が母子や父子世帯を理由に悩んでいる場合もあるでしょう。どのような制度や支援サービスがあるのか知っておくことは、社会全体で子どもを守ることにも繋がります。

障害者が身近にいないから

私は障害理解啓発者です。その活動を通して「障害は身近に存在していない」と感じている方を多く目にします。
身体障害のように、見た目でわからない障害もあります。加えて、当事者やその家族は、障害について気軽に話せないと感じているため表面化しにくいです。また、障害の話が出たときに、どんな反応をしたらよいのか戸惑ってしまう方もいるでしょう。
これらが要因となり、話す機会や知る機会が得られず、「実は親しい方の家族に当事者がいる」といったケースは珍しくありません。障害について知っている人たちが増えることで、障害が身近に存在していることに気が付けるようになります。

高齢者になるのはもっと先だから

先日、大学で障害者や高齢者について講義をしました。その時に、二十歳前後の学生から「祖母の介護を両親がしているので自分にも何かできないか」という質問がありました。自分が高齢期ではなくても、家族に高齢者がいたり、介護をしていたりするケースであれば、身近に存在しています。
高齢化社会が進む現代。そして、誰もがいつかはその立場になる。そう考えた時に、介護制度や福祉サービスについて知っていて損はないはずです。

福祉分野の情報発信の必要性を考える

私は障害教育の現場で教員として支援をする立場でした。現在は、そういった枠組みを飛び越えて、SNSや動画配信を活用して、障害福祉に関する情報を発信しています。フォロワーの方から、様々な質問や相談が届きます。そのやり取りの中で、福祉に関する情報が必要な人たちに届いていないことを強く感じています。
「障害があると診断されたけれど、その後どうして良いかわからない」「高齢者になって支援が必要になったけれど、どこに問い合わせをしたらよいかわからない」といった声は少なくありません。障害者や高齢者、母子・父子世帯になったからといって、誰もその立場での生き方を教えてくれません。自分でアクションを取り、情報をキャッチしていくしかないのが現状です。福祉制度や支援サービスについて知らず、ひとりで悩み続けている人が多いです。どんなに良い福祉サービスが存在していても、それを知らなければ利用することができません。
気軽に情報を得ることができる場所と、その在りかが周知されることで、安心して過ごせる人が増えると考えます。そのためにも、福祉を身近に感じていない方と今すぐに情報が欲しい方を含む人たちが、気軽に情報を得られるよう、国はもちろん福祉に関わる方たちが発信の必要性を考えるときではないでしょうか。

当事者が表現し発信する機会

SNSや動画以外で、「障害の垣根を超えて自分を表現する機会」が必要だと思い、2023年5月21日(日)に「広がれ!心のバリアフリー」というショーを開催します。障害の有無に関係なく、おしゃれを楽しみながら表現や交流を楽しむことに重点を置いています。また、当日に向けて、参加者が心のバリアフリーについて学んだり、交流を深めたりする場を設定しています。運営者はもちろん、美容師、着付け師は、障害に関わったことのある方に協力をお願いしています。
当日の様子は、会場から観覧できます。定員は100名で、事前予約が必要です。また、YouTube「梢の心になるほど隊」でライブ配信も予定しています。

当事者が表現し発信する機会

動画で配信する目的

障害への理解(心のバリアフリー)が進むと、高齢者や様々な事情を抱えている方たちへの理解も進むと言われています。しかし、障害について知る機会が不足していると、心のバリアフリー化は進みません。そこで、誰もが手軽に知ることができる、動画での配信にも力を入れています。

YouTubeのチャンネル名『梢の心になるほど隊』は、障害について自然と詳しくなれる動画を楽しくポップな内容で投稿しています。動画投稿以外にも、ライブ配信でマイノリティについて視聴者の経験談をご紹介したり、考えをシェアして交流をしたりする取り組みも展開しています。

TikTok『視覚障害弱視のぴんぼけライフ』
TikTok『視覚障害弱視のぴんぼけライフ』は、主に私の視覚障害あるあるの動画を投稿しています。発達障害や精神障害など、他障害の当事者のあるあるも募集し、生の声を投稿しています。ぜひ、ご視聴ください。 TikTokで『こずえ』と入力して検索するとご覧になれます

川畑 盟子さん

今回お話を聞いた方

杉本 梢さん

Lululima branch代表

ルールリマブランチは、正しく障がいを知る機会をあらゆるスタイルでご用意しております。HPはこちら:https://lululima-branch.com/

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